日本において使い捨て「カイロ」は昔からお世話になっている国民的な温めグッズですよね!
使い捨てカイロは他にも「科学カイロ」「ホッカイロ」などいろいろな呼び方がされています。
実はこの「カイロ」を貼る場所で悩まれている方が非常に多いんです。もちろんどこに貼っても暖かいのですが、より効果的な位置を皆様探求されています。
ここではいろんな状況に合わせて「カイロ」を貼る最も良い場所や捨て方などを確認してみたいと思います。
カイロとは?
初めに、カイロは何から出来ているのか、疑問に思った事はありませんか?
カイロの中身の半分は何と「鉄」なんです。正確には「鉄粉」が入っていて、この鉄粉が水との化学反応で錆 (さ) びる時に出る熱を利用しています。
でもカイロの中に水なんて無いよね?と思われるかも知れませんが、カイロの中には観葉植物の保水土にも使用される細かい穴の中に水を溜めておける「バーミキュライト」という人工土が入っているんです。
その他、酸素の供給をする「活性炭」も含まれていて、これらを一つにまとめて「使い捨てカイロ」となっています。
使い捨てカイロを「科学カイロ」と呼ぶのはこのためだったんですね!
温度はどのくらい?
ふと、カイロって何度なんだろう?と思った事はありませんか?
カイロのパッケージには温度表示が記載されています。表示は主に「最高温度」「平均温度」「持続時間」です。
まず、「最高温度」は60℃代で「その温度を超えないこと」と決められています。そのため、この最高温度へは達しない事がほとんどです。
次に「平均温度」ですが、40℃を超えてから40℃を下回る間の平均温度で、誤差は10℃前後となっています。
最後に「持続時間」では、40℃を超えた時から40℃を下回るまでの時間で、これ以下にならない事と決められています。
つまり、カイロの使用温度は40℃代を基準にしているようです。
カイロのいろいろな種類
昔はカイロと言えばポケットに入れるか手で持っていて振ったりしてましたよね。
その後、腹巻きにカイロを入れるポケットが付いているものが出てきました。
現在では貼るタイプが主流となり一度に複数枚使う事も当たり前となっています。
それでは現在、貼り方の違いによるカイロの種類はどのような物があるのか見てみましょう。
貼らないタイプ
昔からあるタイプです。ポケットに入れたり手で持ったりして使うため、肩や背中など部分的に暖める事は出来ませんでした。
その後、カイロを入れるためのポケットの付いた腹巻きなどが登場しました。
服の上から貼るタイプ
現在も主流なこの貼るタイプの登場で飛躍的に便利になりました。
好みの部分に服の上から貼り付ける事で、痛みや冷えている部分をピンポイントに暖められる様になりました。
皮膚 (ひふ) にじかに貼るタイプ
皮膚そのものに直接貼るタイプで腰痛の方など温湿布のように使う事が出来るようになりました。
ふくらはぎなど肌着の上から貼れない場所にも使えるため、服の上から貼るタイプと併用しても便利そうです。
この直接貼るタイプは低温やけどの心配から温度は低めとなっています。名称も「温熱シート」となっている事が多いです。
なお、テープなどに皮フがかぶれる方は避けたほうが良さそうです。
足の裏専用のタイプ
足の裏に貼り付けるタイプです。足の冷え症の方や、足の裏がしびれている方には好評のようです。
電池式のタイプ
充電して繰り返し使うタイプです。貼り付ける事は出来ませんが、ポケットに入れて使うには必要十分と言えます。
ゴミを出さない分、エコだと言えます。
カイロの注意点
「低温熱傷 (ていおんやけど) 」と言う言葉を聞いた事はあるでしょうか?
低温やけどは体温以上で60度以下のすぐには熱傷 (やけど) しない温度が一箇所に長時間持続する事で発症します。
低温やけどは痛みは無く、皮膚 (ひふ) がブヨブヨになってしまいます。その深さはⅡ度熱傷で皮膚の真皮層に達します。
この低温やけどは特に体のかかと、くるぶし、スネなどすぐ下が骨になってる部分に多発します。
「湯たんぽ」や「使い捨てカイロ」など40℃代の持続した熱には注意が必要です。
- 貼ったまま寝ない
- 貼ったところを圧迫しない
- 骨まで浅いところは避ける
- 肌に直接貼らない (専用は除く)
これらを守って安全に使いましょう。
カイロに水がかかると危険という噂が飛び交っています。
こればカイロが鉄と水の化学反応で熱を出すため、水分が多いと危険なのでは?という事から噂となったようです。
結論から言いますと、全く大丈夫です。カイロの袋は空気は通しますが水はほぼ通さない作りとなっています。
更に水が中に入っても化学反応のバランスが崩れ、逆に温度が下がるようです。
カイロを貼る効果的な場所
使い捨てカイロは基本的にどこでも貼れますし好きな位置に貼っていただいても何の問題もありません。
ですが、単に寒いから温めたい方ばかりで無く、体の痛みを抱えている方は、痛みやしびれなどの症状を和らげるためにカイロを利用する事があります。
そこで、どの位置にカイロを貼ると効果的なのか、おすすめな場所を見てみます。
体全体を温めたい時
カイロを貼る時、できるだけ少ない枚数で効率的に全身を温めたいですよね。
体全体を温めるのに効果的な場所は腰または腰の少し下(お尻の上)と言われています。
ここは体の中心であり、真ん中に一枚でも左右に一枚ずつでも温め効果は高いです。
腰以外にはお腹の下(おへその下)に「丹田(たんでん)」というツボがあり、この辺りが良いと言われているので試してみると良いかと思います。
妊婦さんに良い場所
妊婦さんは体を冷やしたくないですね。そのためカイロを使う方が多いと思います。
お腹の赤ちゃんのためにお腹に貼っている人もいますが、一般的におすすめな位置は腰の少し下辺りがベストのようです。
腰の周囲は、直接お腹を温めるよりも安心かつ全身が温まりやすい場所なので試してみてください。
痛み別!カイロを貼るおすすめの場所は?
カイロは「寒いから温める」以外にも「体の痛みを和らげる」ために使用されている方が非常に多いです。
そのことから、真夏でも使い捨てカイロはドラッグストアで扱っていることが普通となっています。
では、体の痛みに対してどこにカイロを貼って温めると効果的か、個人的におすすめな位置を目安として以下に記載します。ぜひ参考にしてみて下さい。
腰自体が痛い方は、腰(①)に左右一枚ずつ貼ります。坐骨神経痛がある方は(①)と(⑤)が効果的です。
(⑤)の位置には股関節を曲げる筋肉が腰から繋がっていて、その内側に足へと行く血管が通っていて、足のしびれや重だるさを和らげます。
(⑧)は梨状筋症候群に効果的で、足のシビレや椅子に座っていて痛くなる方にオススメです。
肩の痛みに関しては症状により細かくなってしまいますが、基本的に肩関節の前面または後面に貼る(❹)が王道だと思います。
その他、四十肩・五十肩に特有な腕の付け根の外側(三角筋付着部)に「痛み」や「うずき」が出るが多いためその部分でも良いでしょう。
その他、四十肩・五十肩は背骨の関節が固まって痛みを誘発していることがあり、(②)の部分を温めることも効果的です。
冷えると辛いのが肩こり症状です。特に冬は肩に力が入り、両肩をすくめた歩き方になることが多いです。
肩こりには首の神経からくるものと、筋肉自体が硬くなるものとがあり、頚椎の付け根の(②)と(❹)の間で良いかと思います。
また、肩甲骨の動きを良くするために (④) も効果的です。
手のひらを前に向けて立ち、その状態での肘の外側が痛むのがテニス肘、内側がゴルフ肘です。
どちらも肘の骨の筋肉が引っ張られて痛みが出ています。そのため、肘そのものを温めるよりも肘の関節の少し下(前腕)の太くなっている部分(❷)を温めると筋肉が弛緩するため効果的です。
テニス肘は裏側、ゴルフ肘は手のひら側の前腕部になります。
手や指のしびれの原因は首からが多く、肘、手首などもあります。とりあえずシビレの原因が分からない方は(②)をおすすめします。
頚椎症(頚椎症性神経根症・頚椎症性脊髄症)や頚椎椎間板ヘルニア、変形性頚椎症の方は(②)と(❹)がおすすめです。
胸郭出口症候群(頚肋・肋鎖症候群・斜角筋症候群・小胸筋(過外転)症候群)の方は(❶)がおすすめです。
手の冷えは単に体質のこともありますが、手に行く血管を圧迫しているため、血流不足で「冷える」ことがあります。
この原因の多くが「5. 手のしびれ」でも触れた「胸郭出口症候群」です。そのため(❶)がおすすめとなります。
目安としては両手とも均等に冷える場合は体質の事が多く、片側の手だけ冷える場合は、何かしらの血管の圧迫を考えたほうが良さそうです。
体質的に手が冷える方はカイロをポケット入れて握りしめると良いかと思います。
頭痛に関しては主に緊張性頭痛・拍動性頭痛・片頭痛などがありますが、この内、緊張性頭痛は首から肩の筋肉が硬くなるために発症すると言われています。
そのため(②)の位置や両肩を温めると効果的です。
拍動性頭痛は心拍と連動して血管が拡張するたびに痛みが出るため、温めない方が良いと言われています。逆に頸動脈を冷やす事で血管の収縮を抑え、楽になる場合があります。
便秘にはおへその下(③)辺りが効果的です。ここは腸そのものを温められ、天枢(てんすう)や大巨(だいこ)など便秘のツボがあります。
その他、(①)の腰から少ししたの大腸愈(だいちょうゆ)というツボを狙っても良さそうです。
逆に、お腹が緩くなるなどの下痢症状には(⑥)の少し上にある梁丘(りょうきゅう)というツボを温めると効果的です。
冷えるとトイレに行く回数が増えるのは多くの方が経験されていると思います。
頻尿に対しては(③)の下腹部にある膀胱(ぼうこう)を温めると効果的です。
膀胱は冷えると収縮してしまうので温めて血流を良くし、副交感神経の働きを優位に保つようにします。
ひざの関節は冷えると痛みが増すことが多いため、常にカイロなどで温めている方は多いですが、特に(⑥)膝の内側の少し下の部分(鵞足部)を温めると効果的です。
この鵞足部は太ももの筋肉が膝を曲げるために引っ張るところで、気付かないうちに硬くなり痛みとなっています。
関節自体の痛みにはお皿の上の辺りを温めると、ひざの曲げ伸ばしがスムーズになります。
いわゆる「足がつる」状態で、いくつかの原因があります。
一般的には(⑩)のふくらはぎを直接温めることが効果的です。ここは下肢静脈瘤で「つる」ことも多いためです。
その他(⑤)の股関節付け根の内側や(⑨)のひざの裏側にある神経や血管を温めることで足への神経伝達や血流が良くなります。
腰からの疾患(腰椎椎間板ヘルニア・腰部脊柱管狭窄症・腰椎分離すべり症など)で坐骨神経を圧迫することにより「足がつる」場合は(①)も温めると安心です。
足の冷えを訴える女性は非常に多く、足首から先が急に冷たくなるケースを良く見受けられます。
この場合、足の血流を良くするため(⑤)を温めると効果的です。
さらに足の甲(⑦)や温め効果の高い足の裏の(❸)を温めると、冷え性である足の辛さが緩和されやすくなります。
手首や指、首から上など外から見える部分は基本的にはカイロを貼れないので、その部分を直接温めることに関しては除外しています。
カイロの捨て方
ホッカイロって燃えるゴミ?燃えないゴミ?なんて悩んだ事はありませんか?
カイロの捨て方は意外とハッキリ知られていないので確認してみます。
まずカイロは安全です。そのまま捨てても発火などの心配は無いようです。
ですが安全のために、使わなかったカイロなども封を開け、熱を冷ましてから捨てるようにしましょう。
カイロの中身は天然成分が多いので、そのまま土に捨てられるものもあります。ただし多くのカイロは塩分も入っているため土質を変えてしまう恐れがあります。
では本題ですが、カイロの捨て方は「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」どちらでも可能なため、各自治体で決めた事がバラバラになってしまっています。
東京23区は基本的に燃えないゴミ (不燃) です。地方によっては燃えるゴミ (可燃) の所も多数ありますのでお住いの役所のHPをご確認ください。
こういう部分は混乱するので統一してほしいですね。「燃える」や「燃やせる」「可燃」「家庭」などの表記も統一しないと戸惑ってしまいます。
カイロを捨てる前に
このようにカイロの捨て方を見たところですが、カイロはそのまま捨てずに再利用する事もできます。
再利用といっても暖めるのでは無く、活性炭による靴の脱臭効果やガーデニングなど多岐に利用できるため、捨てる前に検討してみるのもいいかも知れません。
カイロの中の「鉄粉、バーミキュライト、活性炭」がポイントです。
「鉄粉」は野菜の土などに利用する事で鉄分を多く含んだ野菜が採れます。
「バーミキュライト」は土壌の保湿に利用できるため、観葉植物などの土に混ぜると効果的です。(塩分を含むものは注意)
「活性炭」は消臭の効果が高く、靴の中や下駄箱、タバコの匂いなどを抑える事ができます。
まとめ
子供の頃に使い捨てカイロを初めて見たときは衝撃的でした。
カイロの歴史は古いですが今の形になったのは1978年頃からのようです。
「ちゃっぷいちゃっぷいどんとぽっちい」のCMがバンバン流れてましたね!知っている方もいらっしゃると思います。
直ぐに爆発的人気となり、小学校へ行く時、ポケットに入れた手で握りしめていました。
昔からカイロと言えば今と同じオレンジ色で、手でどうやっても袋を破れず、当時から完成度は相当高かったと思います。
ボールの代わりにカイロを投げてぶつけ合ったりした当時の冬を懐かしく思いながらこの記事を書く事が出来ました。