頚肋(頚肋骨)
けいろく(けいろっこつ)
頚肋(けいろく)とは、生活習慣または生まれつき頚椎 (けいつい / 首の骨) の7個目の骨の突起部分が肋骨のように伸びてしまい、神経・血管を圧迫したものです。
また、頚肋は胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)に含まれます。
胸郭出口症候群は、首の周辺で発生する腕神経叢 (わんしんけいそう) と鎖骨下動脈 (さこつかどうみゃく) という「血管」と「神経」を筋肉などで圧迫する症状の総称です。
頚肋の他に、「斜角筋症候群」「肋鎖症候群」「過外転 (小胸筋) 症候群」も胸郭出口症候群です。
頚肋の症状
首の骨の横突起が肋骨のように長くなった頚肋は、どちらかと言えば左側に多く見られますが、左右両側に見られることもあります。
頚肋の大半は神経や血管を圧迫していないため無症状の事も多く、頚肋が見つかったとしてもそのままで問題ありません。
しかし、頚肋骨の位置が悪い場合、腕に行く血管、神経の束である腕神経叢 (わんしんけいそう) を圧迫するため、指の小指側のしびれ、腕のシビレ、握力低下、
巧緻動作
困難などの神経症状が現れます。
悪化したものでは手の筋肉が萎縮してきます。
頚肋の原因
習慣的に重い物を持つ職業、なで肩の中年女性に多く発症します。
頚肋は首の7番目の骨に本来は無い肋骨を形成して神経を圧迫します。
この「肋骨」は短いものから、胸骨まで繋がっているまさに肋骨となっているものまであります。
頚肋はただでさえ入り組んでいる神経・血管の出口である胸郭出口部分 (鎖骨の付け根辺り) に骨が存在しているので、この構造をさらに狭く複雑にしてしまいます。
頚肋の検査法
頚肋は骨なのでレントゲンで確定診断ができます。
その他、首の付け根の鎖骨部分の窪んだ所に頚肋を触れるものもあります。
頚肋の症状は上肢の痛みやシビレを発症するものですが、同様の症状に胸郭出口症候群や脊椎疾患からの神経痛など多くの疾患があります。
無症状の頚肋も多いため、類似疾患との鑑別が特に重要です。
頚肋の治療法
頚肋は存在していても神経を圧迫していなければ無症状で問題ありません。
神経の圧迫が弱いものは
保存療法
で治療を行います。
まず症状悪化の原因となっている、手を挙げる作業を減らす事や重い荷物を持つなども出来るだけ減らすことから始めます。
頚肋があるために通常では神経の圧迫が起こらないような間隙(すき間の事)をより狭くしている可能性があるからです。
なで肩や猫背の場合も頚肋部の狭小化を生み出していることもあるため、筋肉トレーニングで姿勢に関連する筋肉である僧帽筋(そうぼうきん)や肩甲挙筋(けんこうきょきん)、菱形筋(りょうけいきん)を強くする方法があります。
姿勢や筋トレの詳細は他の胸郭出口症候群と同様ですので、そちらのページをご参照ください。
首に負担をかける作業を減らし、保存療法でも改善しないものは手術で頚肋を切除します。