筋・筋膜性腰痛症(筋性腰痛症)
きん・きんまくせいようつうしょう(きんせいようつうしょう)
筋・筋膜性腰痛とは、腰から背中にかけての痛みや重だるさがあり、神経症状を伴わない腰痛疾患です。
筋膜性腰痛になる原因
長時間の同じ姿勢や中腰、不良姿勢などで腰や背中や骨盤周りの筋肉が硬くなり痛みとなって現れます。
特にデスクワークで長時間座りっぱなし、販売員や警備員などの立ち仕事、宅配、引っ越し業者など重い荷物を運ぶ職業、タクシー、バス、長距離ドライバーなどで多く、腰を曲げた状態から伸ばそうとすると痛みで直ぐには伸びなくなります。
よく腰をポンポンと叩きながら伸ばすと楽になるあの腰痛です。
慢性的な背筋の疲労は急性腰痛症 (ぎっくり腰) となる危険性があります。
筋・筋膜性腰痛の症状
腰の痛みが主ですが、背中の痛みや腰周りの重だるさを感じます。腰痛は左右どちらか又は両方の場合もあります。
長く座っていられないものや、立っていると腰に重だるさを感じるようになり徐々に悪化していきます。さらに炎症が強いと寝ていても楽な姿勢がない事もあります。
筋・筋膜性腰痛症では足のしびれは現れないため腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症との鑑別が必要です。
腰椎椎間板ヘルニア / 腰の痛み 足のしびれ 腰部脊柱管狭窄症 / 腰の痛み 足のしびれ
筋・筋膜性腰痛の検査法
筋・筋膜性腰痛症はレントゲンやMRI上では明らかな病態が無いため、症状から判断されます。逆に、レントゲンなどで異常がない事が確定診断とも言えます。
筋・筋膜性腰痛症の疑いがあるもの
- 立っているとすぐに腰や背中が痛くなる
- 中腰姿勢から真っ直ぐに腰を伸ばすのに時間がかかる
- 椅子に座っていると背中、腰への強いコリや痛み、重だるさを感じる
- 指で背筋を押すと重だるさや痛みが出る
筋・筋膜性腰痛症以外の疾患が考えられるもの
- 座っているとお尻から足にかけてしびれが出る
- 立っていると腰から足にかけて痛みやだるさが出る
- クシャミをすると腰に強い痛みが出る
- 腰を反らすと痛みが出る
筋・筋膜性腰痛の治療法
この筋・筋膜性腰痛症の治療では手術の適応は無く、保存療法が行われます。
また、職業やスポーツなど腰痛の原因を取り除く事が困難なケースも多いため、何度も繰り返してしまう疾患の一つです。
保存療法
物理療法
電療、温熱などの治療を行い筋肉の緊張や血流を促進させ回復を早めます。さらにマッサージや鍼灸なども併用されます。
薬物療法
筋弛緩剤や鎮痛剤、トリガーブロック注射などの薬剤による治療が行われます。
コルセット
コルセットで腰部の支持力を高め、背筋の負担を減らすことにより痛みが軽減されます。
筋・筋膜性腰痛症では幅の広いコルセットが効果的です。また、立ち仕事には腰より下の骨盤ベルトで骨盤を締めると比較的楽に立てるようになります。
こちらは骨盤ベルトの中でも最強クラスの締め心地で人気。腰のコルセットと違い幅が狭いためデスクワークや立ち仕事でもズレにくい優れものです。
運動療法
歩く、ストレッチする、体操をするなど体を動かして血流の悪くなった筋肉を緩め血行を改善し、さらに各関節を動かすことで体の柔軟剤が増し痛みが軽減されます。
ただし、過度な筋力トレーニングは筋肉を硬くし、関節の負担も増えるため痛みを悪化させてしまう事があります。
そのため柔軟性を重視した運動療法が望まれます。
姿勢矯正
姿勢は最も重要な原因の一つで、腰の反りやねこ背、横に曲がった座り方などで左右の筋肉バランスが崩れ腰痛を引き起こします。
そのため前後左右の重心を整え筋肉の偏った負担を減らすようにします。また、筋肉の偏りを減らすにはバランスボールのようなものでも効果的です。
まとめ
レントゲンやMRIなどの検査でも原因が分からない腰痛はほとんどがこの筋筋膜性腰痛と言えます。
また、少しの生活習慣や寝不足、ストレスなどで痛みが出たり消えたりするため、多くの人が1度は経験する腰痛です。
もしここにあるような症状が出たら生活習慣を見直してみることも必要です。