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肩鎖関節脱臼 / 肩の痛み

肩鎖関節脱臼

けんさかんせつだっきゅう

肩鎖関節脱臼は鎖骨と肩甲骨の関節をつなぐ靭帯が断裂する事により肩の痛み、機能障害が出る疾患です。

原因

自転車やバイク、高所からの転落、柔道などで転倒し、肩から地面に強く衝いた時に発症します。

まれに手を衝いた時にも腕から力がこの関節に伝わり靭帯が切れる事もあります。


症状

軽いものでは腕を上げる時に腕の付け根辺りに痛みを感じます。ほとんど無症状のものもありますが、カバンなど荷物を持った手を上げようとしたり、何かを取ろうとするなどちょっとした角度の違いで痛みが出ることも多いです。

重度のものは腫れと痛みが強く、鎖骨の先端が皮膚を盛り上げてしまいます。今にも皮フが破れそうなものもあります。

盛り上がった鎖骨の先端を上から指で押すと元の位置に戻りますが、また指を離すと鎖骨の先端が浮き上がってくる「ピアノキーサイン」が特徴です。

他に腕を大きく回すと肩の付け根がカキカキと音がするようになります。

この腕を回した時の音には他に石灰沈着性腱板炎腱板損傷でも鳴ります。他にスポーツや加齢により肩の関節の形が変形したものでは腱が引っかかる音がするので鑑別が必要です。

石灰沈着性腱板炎 / 肩の痛み腱板損傷 / 肩の痛み・ 腕が上がらない

病態

肩鎖関節を構成している鎖骨と肩甲骨の肩峰(けんぽう)は靭帯(じんたい)でつながっています。靭帯とは関節を作る骨と骨とをつないでいる太いヒモです。

肩鎖関節に関係する靭帯は肩鎖 (けんさ) 靭帯烏口肩峰 (うこうけんぽう) 靭帯烏口鎖骨 (うこうさこつ) 靭帯の3つがあり、そのうち烏口鎖骨靭帯は菱形 (りょうけい) 靭帯円錐 (えんすい) 靭帯からできています。

これらの靭帯の損傷程度により次の6型に分類されます。

1型 捻挫 肩鎖靭帯が損なわれるが、X線では異常所見がない。
2型 亜脱臼 肩鎖靭帯が断裂し烏口鎖骨靭帯が損なわれ、鎖骨が上にずれ、関節の隙間が拡大する。
3型 上方脱臼 肩鎖靭帯と烏口鎖骨靭帯が断裂し、鎖骨が完全に上にずれる。
4型 後方脱臼 鎖骨が後ろにずれる。
5型 明らかな脱臼 鎖骨に付く筋肉等が全部損なわれる。
6型 下方脱臼 極めてまれ。

1型2型は非常に多く、そのまま気づかずに生活していることもあります。肩鎖関節は腕を90°以上挙げると関節に強いストレスがかかり痛みが出ます。

検査法

レントゲンで確認できます。1型2型の肩鎖関節脱臼では重りを持ちながら撮影します。必ず健側 (良い方) の肩も比較するために一枚のレントゲンで両肩が映るようにします。(元々の肩の形が人それぞれ異なるため)

重要重りを持たないで撮影すると肩鎖関節の1型、2型の脱臼では見逃してしまいます。

3型の以上の肩鎖関節脱臼ではレントゲンを撮るまでもなく鎖骨の先端が皮ふを盛り上げているので容易に判断できますが、腫れが強いものや、鎖骨の先端部の骨折と判別するためにレントゲンが必要となります。

セルフチェック法

鏡の前で上半身は裸になります。両手に2〜3kgの重りを持って立ちます。必ず力を抜いて重りに任せながら肩を下げていきます。

この時に両肩を比べて痛めた側の鎖骨の先端が少し浮き出たら靱帯の ( 部分 ) 断裂がかなり濃厚です。

注意
肩鎖関節脱臼の1型、2型は非常に見逃されやすいので必ずご自身でも鏡の前などで確認する事を強くお勧めします。

治療法

肩鎖関節脱臼では靭帯の損傷程度によって保存療法と観血療法の選択が必要です。特にこの脱臼は衣類から見えやすい肩の表面なので、3型以上の損傷では見た目が問題となります。

肩鎖関節脱臼は通常の関節脱臼より特殊で、そのまま鎖骨が浮き出た状態でも腕や肩は比較的動かせるので、女性などは手術による傷を取るか浮き出た鎖骨の見た目を取るかの治療の選択は重要です。

保存療法(手術以外の治療)

肩鎖関節脱臼の保存療法は固定を行います。問題なのは痛めた腕側が鎖骨側から腕の重さで徐々に下がってきてしまい関節脱臼部が開いてしまう事です。さらに肩を前にすくめた姿勢だと肩鎖関節部に強い圧力がかかりズレが生じてしまいます。

以上の事を注意して固定を行います。本来は腕の支持と鎖骨の上方からの圧迫が同時に行えるデゾー包帯法で固定することが安全ですが、入浴や通院、皮ふのかゆみなどの問題があるので、デゾー固定と同じ原理で固定できる装具(サポーター)が多く使われるようになりました。

鎖骨バンドを利用した固定の一例

座った状態で胸を張ります。痛い側の腕を体に付けたまま肘を直角に曲げてお腹の前に持ってきます。

鎖骨バンドで胸を張らせて固定します。(あまり強く締めなくて大丈夫です)

三角巾を肘に当てその肘と腕を持ち上げるように首で三角巾を結び止めます。肩が少し上に挙がる程度がちょうどいいです。

この固定と同時にテーピングで肩鎖関節部を圧迫するとさらに安定が得られます。ただし、皮ふがかぶれやすい方には使用できません。

この固定を4週間〜6週間行います。

1型損傷の場合でも2週間の固定は必要です。その際も三角巾を使用し、テーピングでの固定があればより経過が良くなります。

観血療法 ( 手術での治療法)

肩鎖関節脱臼の3型以上では手術が必要になる事が多いです。保存療法では難しい靱帯の完全断裂では外固定のみでの治癒は望めません。

手術法は靱帯を移植したり、鋼線やプレートなどの金具で肩鎖関節を固定するなど多岐に渡ります。

固定後のリハビリ

保存療法、観血療法どちらにしても固定後のリハビリが必要です。肩甲骨周囲の筋力訓練やストレッチなどで肩や肩甲骨の動きを良くします。

肩鎖関節は腕の内外旋 (捻ること) は腕が下がらなければ問題なく可能ですので、肘を直角にして下から手で肘を持ち上げながらのリハビリを行います。

肩甲骨周囲の筋肉はインナーマッスルが多いため、軽い重さのダンベルやチューブなどを使います。

重量物を持ったりスポーツの復帰には3ヶ月〜半年は必要となります。

肩鎖関節脱臼はそのまま放置しても痛みが少なく、日常生活での不自由さは徐々に無くなってきますが、将来的に腕を上げる動作での痛みや肩関節の変形、五十肩などが起こりやすくなります。

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