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上腕二頭筋長頭腱炎 / 肩の痛み

上腕二頭筋長頭腱炎

じょうわんにとうきんちょうとうけんえん

上腕二頭筋長頭腱炎とは肩にある腱が炎症を起こすことにより、肩、腕の付け根に痛みが出たものです。

症状

上腕二頭筋長頭腱炎の症状は下記の通りです。

  • ズボンを履くとき肩が痛い
  • エプロンの紐を腰で結ぶ時に痛む
  • 背中を掻く動作が痛い
このように腕を後ろへ動かすような動作や腕を下げた状態から力を入れて肘を曲げる動作で痛みが出るのが特徴です。

原因

上腕二頭筋長頭腱炎の原因で多いものは下記の通りです。

  • テニス
  • バドミントン
  • 野球
  • バレーボール
  • 水泳
  • 重量物を持つ仕事など
最も多いのがスポーツです。その中でもテニスはドライブ回転をかけるために腕を捻りながらバックスウィングをするため、非常に頻発します。

さらに重量物を持つ仕事なども二頭筋腱に負担がかかり炎症が起こりやすくなります。重量物での痛みは特に腱板損傷との鑑別が重要となります。


病態

上腕二頭筋は力こぶの筋肉で知っている方も多いと思います。「二頭筋」と言われるのはまさに筋肉の頭が2つに分かれているからです。

筋肉の両端は骨に付きますが、筋肉から骨に付く間のヒモ状の部分を腱と言います。

上腕二頭筋の2つの頭からは長い腱と短い腱が出でいます。そのうちの長い腱は上腕骨にある結節間溝 ( けっせつかんこう ) という溝を通ります。この溝で腱が擦れて炎症が起こり痛みが出ます。


肩の痛みには多くの疾患がありますので他疾患との鑑別が重要です。

鑑別が必要な疾患
四十肩・五十肩肩峰下滑液包炎腱板損傷石灰沈着性腱板炎など

注 : 四十肩・五十肩は肩関節周囲炎と呼ばれますが、肩峰下滑液包炎や石灰沈着性腱板炎もこれに含めて言うこともあります。

検査法

上腕二頭筋長頭腱炎かどうかを調べる 徒手検査 は2つあります。どちらも腕の動きに抵抗を加えて痛みが出るかどうかを調べる検査です。

スピードテスト

  • 立った状態で痛みのある側の腕は真っ直ぐに下ろします。肘は必ず伸ばしておきます。
  • そのまま親指が外を向くように手のひらを前に向けます。
  • もう1人の人がその伸ばした腕を後ろに強く引っ張ります。これに対抗して前に強く上げようとすると肩の前面に痛みが出ると陽性となります。

ヤーガソンテスト

  • 座った状態で (立ってでも可) 痛みのある側の手を真っ直ぐに体に付けます。
  • この状態から肘は体に付けたまま肘を90° (直角) に曲げて手のひらを下に向けます。
  • もう1人の人が手のひらを下向きになるように内側へ強く捻ろうとします。これに抵抗して力を入れた際、肩の前面に痛みが出れば上腕二頭筋長頭腱炎の可能性が高くなります。

この2つの検査法以外にも上腕二頭筋長頭腱が走行している結節間溝 (肩の前面部分) を指で押しながら上腕を内、外に捻ると痛みを感じます。

注意
上腕二頭筋長頭腱炎は非常に見逃されやすく、五十肩や関節捻挫として扱われる事が多いため注意が必要です。

治療法

上腕二頭筋長頭腱炎の治療は 保存療法 主体です。痛みの期間から見ていきます。

急性期 ( 炎症期 ) のもの

肩が痛み出して3日間程度は炎症期です。炎症とはケガをした時に治そうとする体の反応です。

炎症期の多くは熱を発して痛みを出すので、手のひらを肩の前面に当てて皮フの温度が高くなっていれば氷などで冷やして熱を抑えます。

注意
冷やすのにシップを使う人が多いですが、シップの清涼感は薬剤の効果です。そのため冷やす効果を得るためには氷や保冷剤、アイスノンなどを使用してください。
冷やすとは?冷シップと温シップの勘違い

急性期では患部の安静が基本です。上腕二頭筋長頭腱炎では三角巾などの固定までは必要としないので、できればスポーツなどを数日は休止し、炎症を抑える事に専念する事が結果として早期の復帰に繋がります。

痛みが強いものにはステロイドや麻酔剤の注射、痛み止めの薬など使用されます。

慢性的に痛みが続いているもの

急性期を過ぎたものや数ヶ月以上も痛みが続いているものには物理療法や運動療法が行われます。

二頭筋長頭腱は腱の炎症からなる疾患ですので、単純にその二頭筋を鍛える事はリスクが高くあまり行われません。

そのため、二頭筋長頭腱が伸ばされる力を少しでも緩める為、肩甲骨の周辺の筋肉をストレッチしたり、肩甲骨自体の動きを改善する方法が多く採られています。

他に肩関節と肘を曲げた状態で結節間溝の少し下の二頭筋をじっくりほぐしていくと二頭筋長頭腱の突っ張りが弱まり楽になります。

まれですが上腕二頭筋長頭腱が断裂してしまう事があります。この場合は手術で長頭腱の断端を結節間溝に固定するなどが行われます。

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徒手検査(としゅけんさ)

MRIなどの機械や採血の検査ではなく、体に直接触れてその反応で症状を判断する検査。

叩く、押す抵抗を加えるなどで症状の原因を即座に特定する時に用います。

注) 筋肉の筋力を測る徒手筋力検査とは異なります。

保存療法 (ほぞんりょうほう)

手術以外の治療のこと。

⇔ 観血療法