ゴルフ肘 (上腕骨内側上顆炎)
ごるふひじ(じょうわんこつないそくじょうかえん)
肘の痛みの中でテニス肘に次いで多いのがゴルフ肘と呼ばれるものです。正式名称は上腕骨内側上顆炎 (じょうわんこつないそくじょうかえん)と言います。
ややこしいですが、テニス肘はバックハンドテニス肘、ゴルフ肘はフォアハンドテニス肘とも呼びます。
痛みの場所は肘の内側の少し骨が出っ張った部分です。指で叩いたりぶつけたりすると「ビーン!」と響いて痛いあの部分ですね。
ゴルフ肘の症状
肘の内側が、荷物を持ったり、雑巾をしぼる、蛇口をひねる等の動作で強く痛みます。
強いものでは前腕部 (肘と手首の間)の筋肉まで痛みが広がります。
ゴルフ肘の原因
ゴルフ肘の原因はゴルフで地面を叩いてしまい、強い衝撃が手首から肘の筋肉の付け根に伝わり痛めることからこの名が付いています。
他に、手指の使い過ぎや強く握りしめる動作、さらにそれらを繰り返し行うことで手指を動かす筋肉が付いている肘の内側の少し出っ張ったところに炎症を起こし痛みが出ます。
ゴルフ肘での手指の使い過ぎとは前記のゴルフの他、テニスのフォアハンドで打つ動作(テニスでも起こります)やパソコンの打ちすぎなど。
ただ単に使い過ぎだけではなく力を入れて何かを握りながら手指に強い力が加わった際、非常によく発症します。
手のひらを上に向けて指のグーパーを何度か繰り替えしてみてください。
肘の内側すぐ下の筋肉がピクピク動くのが見えます。この筋肉を肘の方向へ辿って(たどって)行くと肘の内側の骨の出っ張りに着きます。ここがゴルフ肘の場所です。
ゴルフ肘の検査・診断
上腕骨内側上顆炎 (ゴルフ肘) の検査法は2つあります。
- Wrist flexion test
- Forearm pronation test
検査1. Wrist flexion test
手のひらを上から抑えながら手首を力いっぱい曲げると内側の肘に痛みが出る。
検査2. Forearm pronation test
手のひらを上にした状態で手を抑えて力いっぱい手のひらを捻じって下に向けようとすると内側の肘に痛みが出る。
ゴルフ肘の治療
ゴルフ肘は一度発症すると長期にわたって痛みが出ます。これは例えばスポーツやピアノなど日常習慣的に続けている原因動作をやめられない事にあります。
特に利き手の場合、通常生活でも手指を使わない訳にはいかないのでどうしても肘に負担がかかってしまいます。
治療の種類
- 物理療法
- ゴルフ肘バンドを活用
- テーピング
- 局所麻酔
- 安静
治療 1.物理療法
痛みが出始めて3日間程は炎症期になりますので肘を冷やします。炎症が治る4日〜1週間目からは患部をよく温め血流を促します。
その後、電療や前腕 (腕の肘から下の部分)と肘の上の筋肉をよくマッサージして、手首のストレッチを行う事によって痛みが比較的早期に改善されます。
治療 2.ゴルフ肘バンドを使用
ゴルフ肘は肘から指を動かす筋肉が引っ張られて発症します。そのため、肘の少し手前 (肘の少し下)の筋肉を肘バンドと言う細いサポータを巻くことにより、指を動かしても肘まで力が伝わらないようにします。
スポーツや仕事、趣味でどうしても使いながら治すといった場合にとても効果的です。
エルボーバンドはゴルフ肘、テニス肘の両方に対応するこちらがおすすめです。サイズはきつめなのでワンサイズ大きめを購入されると良いかと思います。
治療 3.テーピング
皮膚がかぶれにくい方は少し硬めの伸びるテープで肘から手までを筋肉に沿って貼ります。
ゴルフ肘バンドよりは固定力は弱いですが、指を動かす筋肉の補助となり、回復を早めます。
治療 4.局所麻酔
肘の患部へ直接麻酔剤やステロイド注射を打ちます。
即効性がありその場で痛みはほとんど感じなくなりますが、また数日で痛みが出でしまう事も多いです。
治療 5.安静
ゴルフ肘は使い過ぎの事が多い為、一番は腕の筋肉を休ませる事です。使いながらの場合、長い人で数ヶ月から数年に渡り痛みがある方もいます。
ゴルフ肘はテニス肘と同じく、発症すると痛みもしつこく日常生活においても不自由なので、原因である生活スタイルも見直しましょう。