ギヨン管症候群
ぎよんかんしょうこうぐん
ギヨン管(ギオン管)症候群とは、手のしびれ・指のシビレ・手の筋肉の萎縮のことです。
手のひら側の手首に近い部分に尺骨神経管(しゃっこつしんけいかん・Guyon管)というトンネルがあり、この部分で神経が圧迫される状態をいいます。。
同じ尺骨神経麻痺でギヨン管症候群と似た症状が出る肘部管症候群と区別しましょう。
神経が圧迫・絞扼される場所と手の筋委縮の範囲の違いがあります。
他に鑑別が必要な疾患:頚椎症(第8頚神経)
肘部管症候群 / 手・指のしびれ 頚椎症 / 手のシビレ・首の痛み
ギヨン管症候群の病態
ギヨン管症候群は、腕から「小指」と「薬指の小指側半分」まで走行する尺骨神経が、指と手関節の間にある手のひらの細かい骨である豆状骨(とうじょうこつ)と有鉤骨(ゆうこうこつ)という2つの骨でできたトンネル(ギヨン管)で圧迫障害されて生じます。
ギヨン管症候群の症状
ギヨン管症候群の症状には主に次の3つがあります。
- 小指・薬指の感覚障害・しびれ
- 手のひらの小指側の筋委縮
- 鉤爪変形(かぎづめへんけい)
症状1.小指・薬指の感覚障害・しびれ
尺骨神経が支配する小指と薬指の半分(小指側の半分)に感覚麻痺・シビレを生じます。
尺骨神経(しゃっこつしんけい)は手首と指を曲げる神経です。
症状2.手のひらの小指側の筋委縮
ギヨン管(手を地面につく所)で尺骨神経を圧迫するので、手首近くから小指側の手の筋肉が萎縮します。小指側だけガリガリな手の感じです。
症状3.鉤爪変形(かぎづめへんけい)
尺骨神経麻痺で手の筋肉が萎縮し、小指と薬指の付け根の関節が反り返ってきます。
さらに小指と薬指の第1・第2関節が曲がった形になります。 これを鉤爪変形 (かぎづめへんけい) といいます。
他にワシの手に似ているため鷲爪変形 (わしづめへんけい) とも言われます。
ギヨン管症候群の原因
ギヨン管症候群の原因は主に次の3つです。
- ギオン管内のガングリオン
- ケガ・骨折
- 大工道具など手を強く握る繰り返しの外力
原因1.ギオン管内のガングリオン
ガングリオンとは、関節から出てきたゼリー状の塊ですが、これがギオン管に出てくるとギオン管のトンネル内が狭くなり、そこを通過する尺骨神経を圧迫します。
原因2.ケガ・骨折
強く手を衝いたり、手のひらの骨折(豆状骨や有鈎骨周辺)などで出血や仮骨(骨が生えてくる)、変形などでギオン管内が狭くなり尺骨神経を圧迫します。
原因3.大工道具など手を強く握る繰り返しの外力
硬い道具や力を入れて手に負担のかかる機械などでギヨン管が圧迫され尺骨神経が麻痺を生じます。
同じ原理でスポーツでも発症します。
ギヨン管症候群の治療法
まず安静です。生活スタイルを見直し上記の原因を避けられる範囲でできるだけ減らします。
安静を保つため装具やサポーターを併用し、物理療法やビタミンB12の服用で経過を見ます。
これらの方法で治癒することが多いですが、ガングリオンや骨折の骨の一部で圧迫が強い場合は手術を選択します。