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脂肪腫とは?顔や背中にできる原因や手術治療など。

脂肪腫 (しぼうしゅ) という言葉を聞いたことはありますか?

脂肪腫は体のあちこちにできる良性腫瘍で、全く珍しいものではなくご自身の体にも見つかる可能性は十分にあります。 

どのようなものが脂肪腫か?どういう治療法があるのか?など詳しく見て行きます。

脂肪腫とは?ほとんど痛みのないこのデキモノの原因や治療法

脂肪腫とはどんなものか?

まず、脂肪腫ってどういうものなのでしょうか? また、同じ脂肪腫でもその作られる組織が少しずつ違い、血管脂肪腫線維脂肪腫筋脂肪腫のように区別されます。

肩にできた脂肪腫

これらの脂肪腫の症状や治療法は共通しています。そこでこの脂肪腫について分かりやすいようにQ&A方式で確認して行きます。

どこにできるの?

体のあちこちにできます。特に背中や首、両腕、お尻、太ももに頻発します。1つだけのものと数カ所にできる場合もあります。


痛みはあるの?

脂肪腫は通常、痛みはありません。


できやすい年齢は?

徐々に大きくなる事が多いため、40代以降に気がつく事が多いようです。


大きさはどのくらい?

数㎜の小さいものから数十㎝の巨大なものまで様々です。比較的放置している方は数㎝程度の事が多いです。


男女比はどちらが多いの?

やや女性が多いようです。


何科を受診すればいいの?

専門は形成外科や皮膚科です。外科という点で整形外科でも見てもらえます。


自然に治るの?

脂肪腫の場合、自然に治る (消える) 事はありません。また、徐々に大きくなる傾向があります。


放置しても大丈夫?

ほとんどの場合、脂肪腫に痛みはありません。また、良性腫瘍なので気にならなければ放置しても大丈夫です。


治す薬はあるの?

脂肪腫を消すような薬はありません。

 

注意

脂肪腫と似ていても悪性腫瘍など危険なものの可能性があります。先ずは病院で診断を受けることをお勧めします。

 

以上のように脂肪腫は体のどこにでもできます。また、その深さは皮膚のすぐ下の浅い部分にできるもの (浅在性) と筋肉の中や間、筋膜にできる比較的深いもの (深在性) とに分けられます。

浅いもの (浅在性脂肪腫) では皮膚が盛り上がって表面からその存在が目視で確認できます。

表面から判断できないものは手で押しながら指を滑らせると、弾力性のある塊を乗り越える感触があります。

脂肪腫は肩や背中に見られる事が非常に多く、逆に前腕や足のスネの辺りにはほとんど見られません。

 

痛みは無いのが普通です。脂肪腫の多くは気になるかならないかの問題の方が大きいです。

ごく稀に神経を圧迫するものでは痛みを伴うことがあります。この場合、脂肪腫と似た疾患で「粉瘤 (アテローマ) 」との区別が必要です。

粉瘤について詳しくはこちら ⬇︎

粉瘤とは?背中などの痛いできものの原因と治し方

 

好発年齢 (できやすい年齢) は40代以降に気づくことが多いようですが、ゆっくりと大きくなる為、幼少時期にはすでに小さい脂肪腫が存在している可能性もあります。

 

男女比は女性がやや多いようですがほとんど差は無いとも言われています。確かに男性にも非常に多く見受けられます。

 

脂肪腫を治すような塗り薬や飲み薬、注射なども無く通常は摘出する方法のみです。また、稀に脂肪腫以外の腫瘍の可能性もあります。

 

病院 (クリニック / 診療所) へ行く場合、形成外科皮膚科が専門となります。触診 (手で触って診察すること) で脂肪腫と判断する事もありますが、必要に応じて超音波エコーMRICTでの確定診断が行われます。

また、悪性 (ガンなど) の可能性を見るために組織の一部を採取して病理検査が行われる事があります。

特に脂肪肉腫という悪性腫瘍の中には高分化型脂肪肉腫のように脂肪腫と判別が困難なものもあります。

 

脂肪腫は自然治癒する (自然に消えて無くなる) 事はありません。病院では脂肪腫と確定された場合、手術で取り出すかそのまま様子を見るかの選択になります。

原因は何か?

はっきりした原因は不明ですが、肥満が影響している可能性があります。

他に遺伝も可能性があるようです。こちらもやはり原因がはっきりしないので確定していません。

 

脂肪腫という名の通り線維性の膜に覆われた脂肪組織が増殖して形作られています。

周りの組織との境界がはっきりしているものと、筋肉の組織内に入り込んでしまい全身麻酔での摘出が必要なものもあります。

間違えやすい疾患

脂肪腫とできる位置や大きさ、見た目などが似ているものがあります。これらは脂肪腫ほど多くはないものの、決して珍しくも無く、大変多い疾患です。

脂肪腫と鑑別が必要なもの

  1. 粉瘤(アテローマ)
  2. ガングリオン
  3. 神経鞘腫(しんけいしょうしゅ
  4. 滑液包炎(かつえきほうえん

1. 粉瘤(アテローマ)

体のあちこち (特に背中や首周辺) にできる膿が溜まった痛みを伴う腫瘤で、自然治癒はせず放っておくと大きくなり痛みが強くなります。

粉瘤も脂肪腫と同じく手術で摘出する必要があります。

粉瘤について詳しくはこちら ⇩

粉瘤とは?背中などの痛いできものの原因と治し方

2. ガングリオン

ガングリオンは関節内から発生する腫瘤で、透明でゼリー状の内容物が溜まる疾患です。

痛みは無い事がほとんどですが、目立つ事が問題となります。

手首などに多発し、内容物を取り出しても何度も再発するため完治しない事がある反面、自然に消失する事も多く、治療の判断が難しい部分があります。

ガングリオンについて詳しくはこちら ⇩

ガングリオン / 腫瘍

3. 神経鞘腫(しんけいしょうしゅ

主に神経にできる良性腫瘍で、脳神経と脊髄神経にできるものと、筋肉などの軟部組織内にできるものがあります。

聴神経や三叉神経に多く、末梢神経にできたものは押すと痛みやしびれを伴う事があります。

神経鞘腫も手術で取り除く事があります。大きくなったものは取り残しからの再発や神経を傷つける可能性があり難しい面があります。

4. 滑液包炎(かつえきほうえん

肘や足首などの関節近くにできる水の溜まった腫瘤で、痛みは無い事がほとんどですが、大きくなり痛みが出てくるものもあります。

デスクワークで肘をついて仕事をしていることや、正座の習慣があるなど外部からの繰り返す刺激によって形成されます。

滑液包炎について詳しくはこちら ⇩

滑液包炎 / 肘、足首、膝の腫れ・肩の痛み

脂肪腫の治し方

脂肪腫は基本的に痛みが無く、よほど大きくならなければ放置しても問題はありません。

ですが、自然に消失したり小さくなる事が無く、むしろ少しずつ大きくなってしまいます。

そのため目立つようになると放っておく訳には行かなくなります。そこで脂肪腫を治す必要が出てきます。

脂肪腫の治療法は唯一「摘出する事」です。

浅在性脂肪腫のように皮ふの下にあるものは皮膚を切開して脂肪腫の線維性の袋ごと綺麗に取り除きます。

筋肉内や骨に近い部分にできる深在性脂肪腫では筋肉内に脂肪腫が入り込み、脂肪腫と脂肪組織の境界部分がはっきりしない事があります。

この場合は局所麻酔では難しい事もあり、入院して全身麻酔での手術となる場合があります。

 

一度摘出した脂肪腫が再発する事はまれで、粉瘤などのように何度も繰り返すストレスはありません。

治療費の目安

唯一の治療法が摘出手術となる脂肪腫ですが、その治療費はいくらぐらい掛かるのでしょうか?

まず、脂肪腫を取り除く手術は健康保険が使えます。自己負担は3割負担、2割負担、1割負担のいずれかですのでご自身の保険証をご確認下さい。

腫瘍を摘出する場合、その「できもの」の大きさや場所、深さはなどで手術費用が変わります。さらに術後、摘出した腫瘍を病理検査へ出す事が一般的ですが、その費用もプラスでかかります。

これらを踏まえて脂肪腫の治療費の目安 (3割負担) は自己負担額で5000円〜25000円の範囲内となります。

これは脂肪腫の位置が浅いか深いか、CT又はMRIなどの検査を行うかどうか、病理検査を依頼するかどうかで大きく変わるためです。

手術時間は1時間程度で、血管を巻き込んでいたり、筋層に入り込んでいるものは2時間以上かかる事もあります。

脂肪腫が大きかったり深く入り込んでいるものは全身麻酔が必要なため入院して手術を受けます。その際は術後の抜糸まで1週間〜10日ほどすれば退院となります。

 

入浴はシャワーなら翌日から許可が出る事が多いです。その都度、保護している絆創膏はご自身で交換する事が必要です。

まとめ

脂肪腫は誰にでもできる可能性のある身近な腫瘍で、良性と言えど大きくなるため心理的なストレスが大きい疾患です。

腫瘍が大きくなるとそれだけ摘出する事が大変になる傾向があるので、勇気を出して早めに病院で相談してみると良いかと思います。

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