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軽度な側弯症は治療不要?原因や運動療法の必要性など

側弯 (そくわん / 側彎) は背骨が横に曲がる疾患で、わずかに曲がっている人を入れると相当数の方が含まれるほど一般的です。

特に「側弯症」と呼ばれるものは明確に背骨が横に何度曲がっているかで判断されます。

背骨が多少曲がっているだけならまだ問題は少ないですが、側弯症と呼ばれるものになると多くの困った症状が現れます。

単に姿勢が悪いと思っていたら側弯症だったという事もあり得るので、ご自身の状態が側弯症かどうかをある程度確認しておくと良いかと思います。

それではこの側弯症の原因や症状などを詳しく見ていきます。

背骨が横に曲がる側弯症の原因と治療法

側弯症の特徴

側弯 (そくわん) とは、体の正面から見て背骨が横に曲がる症状です。

側弯症イメージ

注意
側弯の「弯」の字は「彎」とも書くこともありますがどちらでも大丈夫です。
  • 前弯 (ぜんわん) = 前に曲がること。
  • 後弯 (こうわん) = 後ろに曲がること。
  • 側弯 (そくわん) = 横に曲がること。

本来の背骨の形状

通常、背骨は頚椎、胸椎、腰椎からなり、前後にS字状に曲がっています。

頚椎 (7個) 前に弯曲 前弯
胸椎 (12個) 後ろに弯曲 後弯
腰椎 (5個) 前に弯曲 前弯

背骨は正面から見ると正常では真っ直ぐですが、横から見ると図のように前後に曲がって (弯曲して) います。

横から見た正常な背骨

このように背骨が前後に曲がっている理由は何でしょうか?

歩く、走る、ジャンプするなどの地面からの衝撃は、例えば背骨が真っ直ぐな場合、背骨の縦方向にダイレクトに伝わります。

この衝撃を前後に弯曲することにより和らげています。

側弯の背骨の形状

側弯症になると背骨が体の正面から見て前後の弯曲に加え、横方向へも曲がってしまいます。

この背骨が横に曲がった状態を「側弯」といい、側弯が一定以上の強い曲がりとなったものを「側弯症」と呼びます。

それではどのくらい背骨が横に曲がると「側弯症」と呼ばれるのでしょうか?

側弯症の定義

側弯症は背骨が横に曲がるということは分かりました。それではどのくらい曲がると病的なレベルになるのでしょうか?

背骨は年齢とともに多くの方が多少なりとも横に曲がる部分が発生してきます。このような少しの曲がりでは側弯症とは診断されません。

側弯症と呼ばれるのは「コブ角 (Cobb角) 」と言われる背骨の角度が10°以上になったものです。

その多くは横に曲がりながら捻れも伴い、重度の側弯症になると肺や心臓を圧迫する事もあります。

側弯症ではこの「コブ角」という言葉が重症度を図る上で重要ですので先に確認しておきます。

コブ法 (Cobb法) とは?

Cobb法は側弯の程度を測る指標で、計測した結果、出た角度をCobb角と言います。

このCobb角の角度が大きいほど重度の側弯症となり、「側弯症」と言われるのはCobb角10°   以上の場合です。

コブ角計測法

コブ角の計測法はX線 (レントゲン) 撮影を行い、前後方向から見て一次カーブニ次カーブを判定します。

一次カーブは上から最初の曲がった部分で、最も出っ張った (凹んだ) 部分を「頂椎」とします。

次のカーブを二次カーブといい、こちらも同じように頂椎を設定します。

「α」と「β」は側弯度を表し、Cobb法で計測します。

Cobb法での指標は側弯の程度と矯正方法を決めるのに重要な役割があります。

目安としてCobb角25°以上で治療の必要性が出てきます。

 

側弯症の症状

それでは側弯症になるとどのような症状が出るのでしょうか?

側弯症ではまず見た目が大きな問題となります。背骨が横に曲がるとそこに付いている肋骨が一緒に歪みます。

背骨の曲がりは小さくても、それに伴って肋骨が動くと非常に大きく歪んで見えます。

また、肋骨と共に肩甲骨も浮き出たり窪んだりして見えるため、大衆浴場やプールなどでも人目が気になってしまいます。

 

見た目以外で言えば軽度の側弯であれば痛みはほとんどなく、気がつかない事もあります。

重度の側弯症になると肺や心臓を圧迫し、呼吸困難や心臓を圧迫するなど生命の危険な状態となることがあります。

臓器を圧迫しないまでも、脊柱 (せぼね) の変形は手足に向かう大事な神経を圧迫し、痛みや手足のしびれの症状を引き起こすことがあります。

このような側弯の程度を表にまとめます。

痛み 見た目 治療 命の危険
軽度 無し 気づかない 経過観察 無し
中等度 稀に 少し目立つ 必要 無し
重度 強い場合有り はっきり分かる 必要 危険な事も

もちろんこれらの他にも背骨が曲がることは体の重心が前後左右どちらかへ偏ってしまうという問題があります。

重心が均等にかからなくなる事で、腰痛やひざ痛のような不具合が体のあちこちに出やすくなります。

 

側弯症の種類

側弯 (そくわん) は発症する年代や原因によって次のように分類されます。

  1. 特発性側弯症
  2. 病原性(症候性)側弯症
  3. 変性腰椎側弯症
  4. Marfan  (マルファン) 症候群に伴う側弯症

1. 特発性側弯症 (とくはつせいそくわんしょう)

原因不明に発症する側弯症で、側弯症全体の8割がこの特発性側弯症です。

女子に多く発症 (男子の5倍以上) し、思春期ごろに最も多発しますが、乳幼児期にも少なからず見られることがあります。

この事から特発性側弯症は発症年齢により乳児期 (0〜3才) 、幼児期 (4〜10才) 、学童期 (10才以降) に分類されます。

2. 病原性(症候性)側弯症 (びょうげんせいそくわんしょう)

原因が分かっている側弯症で、先天性側弯症神経筋性側弯症があります。

先天性側弯症

生まれつき背骨の椎骨 (ついこつ) が変形していることで側弯となる疾患。

神経筋性側弯症

筋ジストロフィー脳性麻痺など、神経や筋肉の病気から側弯となるもの。

3. 変性腰椎側弯症  (へんけいせいようついそくわんしょう)

腰椎変性側弯症とも言います。加齢により背骨の間にあるクッションの役割をしている「椎間板(ついかんばん)」や背骨同士の関節である「椎間関節(ついかんかんせつ)」の形が変わってきてしまい、背骨が横に曲がった状態をいいます。

背骨の曲がりが強くなると膝や股関節を痛めたり、背骨で神経を圧迫するなど多くの関連する痛みやしびれが出やすくなります。

変性腰椎側弯症はCobb角(コブ角)10°以上となります。

 

4. Marfan 症候群に伴う側弯症

Marfan症候群 (マルファンしょうこうぐん) とは常染色体優性遺伝病で、先天性 (生まれつき) に骨格、血管、臓器などに様々な合併症を伴う病気です。

特にMarfan症候群では高身長となる傾向があり、背骨が前後や横に曲がる合併症が8割にも現れます。

 

背骨が曲がる原因は何か?

側弯症は大きく原因があるものと原因が無いものに分けられます。

原因があるものを「機能性側弯症 (きのうせいそくわんしょう) 」、無いものを「構築性側弯症 (こうちくせいそくわんしょう) 」と呼びます。

機能性側弯症ではその原因を取り除く事で改善することができます。反対に構築性側弯症は原因不明のため元に戻す事は非常に困難です。

機能性側弯症となる例
  • 腰痛など体に痛みがあり、その痛みのために姿勢が崩れた状態。
  • 足の長さが違うために背骨が曲がってしまう状態。
  • 斜めに座るなど姿勢が悪く背骨が曲がってしまった状態。
重要
通常、病院などで診断される側弯症と言えば原因の無い「構築性側弯症」を指します。

その他、構築性側弯症では背骨の曲がりに加え捻れも伴いますが機能性側弯症では通常、捻れは見られません。

 

側弯症の種類は前記のように、特発性側弯症がおよそ8割を占めます。

「特発性」とは、原因がわからないという意味で使われる言葉で、その名の通り思春期ごろに原因が無く背骨が曲がってきます。

この特発性側弯症が大多数のため、一般的に側弯症の予防は難しくなっています。

また、先天性 (生まれつき) 背骨の骨が奇形のものや病気から側弯を発症するものもあり、「先天性」や「病気」に伴って発症するという意味であればこれらが原因と言えます。

 

側弯症の検査法

一次検査

まずは視診 (目で見て診察する) とモアレテストを行います。

前屈テスト

肘を伸ばしたまま両手を下げて手のひらを合わせます。

そのまま頭を丸め込むように体を前屈します。

左右の肩や肩甲骨の高さがズレているかどうかで側弯症を診断します。

特に特発性側弯症は思春期に現れる事が多く、学校保険の基準により次のような検査法が行われています。

側弯症モアレテスト

  1. 両肩の高さに差があるかどうか
  2. 両肩甲骨の高さや突き出し方に差があるかどうか
  3. 左右の手ウエストラインの非対称性があるかどうか
  4. 前屈させて肋骨隆起や腰部隆起の有無およびその程度

 

立位テスト

背中を向けて真っ直ぐに立ちます。この状態で次のような視診を行います。
側弯症立位テスト

  1. 肩の高さに左右差があるかどうか
  2. 肩甲骨の高さおよび肩甲骨の突出の程度に差があるかどうか
  3. ウエストラインが左右非対称になっているかどうか

前屈検査や立位検査での視診は手軽に検査ができるため、比較的早期に側弯症の有無を知ることができます。

モアレテスト

モアレテスト (モアレ検査) とは、格子を通した光を背中に当て、等高線の影を背中に作る事で体の左右の非対称性 (高低差) を比較して調べる検査法です。

脊柱検査において学校で行う検査としてモアレテストは一般的で、この検査や視診で引っかかると二次検査が行われます。

 

二次検査

一次検査で陽性 (側弯症の可能性がある) 場合、二次検査を行います。

二次検査ではX線検査 (レントゲン撮影) を行い「コブ角 (cobb角) 」を計測します。

コブ法 (cobb法)

コブ法とは、側弯により背骨の曲がった角度 (コブ角) がどのくらいかを計り、その角度が重症度の指標となる検査法です。

コブ角が10°以上であれば側弯症と診断され、以下のような治療方針が決定されます。

 

側弯症の治療法

一次検査、二次検査を経て側弯症と確認された場合、コブ角 (背骨の曲がった角度) が25°以上になると治療の必要性がある事が多くなります。

側弯症での治療の流れは次のようになります。

軽度
経過観察
Conb角24°まで
中等度
装具療法
Cobb角25°〜49°まで
重度
手術
Cobb角50°以上

正常 (Cobb角0°〜9°まで)

背骨のコブ角が9°までのものは正常な範囲のため全く問題ありません。

軽度の場合 (Cobb角10°〜24°まで)

ほとんどが経過観察です。特に日常生活の制限も無く過ごせます。

側弯症では骨の成長が止まると病気の進行も止まるため、側弯が軽度の状態で落ち着き、支障なく生活できる事も普通にあります。

このような軽度な側弯の場合、通常は3ヶ月毎の診察を行い経過観察となるため治療の必要は特にありません。

 

側彎に対する色々な治療に関して

構築性側弯症においてマッサージや整体、カイロプラクティックなどでの矯正治療は正式な改善例が今のところ無いため効果を期待するのは難しい状況です。

ただし、痛みを伴う側弯症の疼痛軽減目的や機能性側弯症 (姿勢など原因があるもの) においてはこれらの治療で効果が得られるものもあるので、どちらの側弯症であるかの判断が必要です。

運動療法やストレッチにおいても構築性側弯症の場合では、これまで多くの試みが行われていますが良い結果は出ていない状況です。

 

中等度の場合 ( Cobb角25°〜49°まで)

Cobb角が25°以上であり、年齢が15歳くらいまでの骨がまだ成長している段階の場合、側弯の進行を食い止めるために装具療法が行われます。

装具とは体の上半身を左右から固定、支持するもので、これまでは「Milwaukee Brace (ミルウォーキーブレース) 」が使用されてきました。

Milwaukee Braceは骨盤から首を固定する側弯症の装具ですが、首から骨盤までを固定するため大掛かりで目立ちすぎる欠点がありました。

そこで近年ではunder arm brace (アンダーアームブレース) という脇の下から骨盤までを支持固定する装具が一般的になってきました。

アンダーアームブレースは薄着でも目立たず装着も比較的容易になり装具療法の抵抗感を減らすことが可能となっています。

ただし、より頭部に近い側弯では現在でもミルウォーキーブレースが適応されています。

頚椎、胸椎、腰椎を固定 (CTLSO装具)

ミルウォーキーブレース

胸椎、腰椎を固定 (TLSO装具)

アンダーアームブレース

ボストンブレース

装具療法では基本的にお風呂など以外は24時間着用します。それと並行して3ヶ月おきなど定期的にレントゲンを撮り、側弯の進行具合を確認します。

装具療法は骨の成長が止まるまで行います。骨の成長がいつ頃かは個人差があるため、レントゲン所見や身長の伸びを見ながら判断されます。

 

重度の場合 (Cobb角50°以上)

側弯は骨の成長が終了すると進行が止まるものがほとんどですが、Cobb角50°以上のものはそのまま進行していく事もあります。

さらに重度の側弯症では強い痛みや内臓を圧迫する事もあり、これらの改善処置として手術療法が選択されることがあります。

手術では後ろないし横から曲がった脊柱を真っ直ぐにして金属で固定する方法が採られます。

手術のリスクとして、脊椎を固定する手術過程での神経麻痺感染出血がありますが、近年では神経麻痺に対して手術中、常にモニタリングしながら行う事で安全性を高めています。

 

まとめ

側弯症の多くは成長期が終わると背骨が曲がる進行が止まるものがほとんどです。

その間に軽度の状態で側弯を維持できれば成長期後は何の問題もなく生活できます。

ただし、背骨が一度大きく曲がってしまうと元に戻す事は非常に困難で、装具療法や手術など肉体にも精神的にも負担が大きくなります。

そのため側弯症は早期発見、早期治療の原則が重要となり、進行を食い止める最善の方法です。

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