モートン病 (モルトン病)
もーとんびょう (もるとんびょう)
モートン病 (モルトン病) とは、足の指の付け根に痛みやしびれが出る疾患です。
症状
足の中指と薬指の間の付け根部分に痛みやしびれが出ます。時に灼熱痛のような強い痛みの事もあります。
特に背伸びや立てひざでつま先を反らすと痛みが強く出ます。
モートン病は中指(3趾)と薬指(4趾)の間に出る事が多いですが、人差し指(2趾)と中指(3趾)の間にも発生します。
原因
モートン病の原因は足の指を反らした状態で足裏の指の付け根部分に体重が集中してかかることで神経を圧迫し発症します。
モートン病の原因では、背伸びや立てひざでの仕事、ランニングなどのスポーツで多く発症します。
女性ではハイヒールを履くことにより指の付け根で体重を支える事になり、神経を圧迫してしまいます。
病態
足の指の付け根には足の甲を形成する5本の中足骨という骨があります。この中足骨同士をつないでいる深横中足靱帯(しんおうちゅうそくじんたい)の下を神経が走行しているため、地面と深横中足靱帯の間で神経を挟むために発症します。
神経への繰り返しの刺激で神経にコブ状のシコリができることがあります。これを神経腫 (しんけいしゅ) といいます。
神経種は良性の腫瘍のため、それ自体は怖いものではありません。
縦アーチと横アーチ
足には土踏まずや足の甲を形成している内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチがあります。
これらのアーチは歩行時に地面からの衝撃や体重をクッションの様に和らげる働きがあります。
このアーチが、合わない靴などで外反母趾や槌指 (つちゆび / マレット趾) となりそれが原因でアーチが崩れると、足の指が広がり平らで扁平(幅広い)足となってしまいます。これは足に掛かる衝撃をモロに受ける事になります。
その為、モートン病には足の内側縦アーチと横アーチが深く関係してきます。
検査法
神経を圧迫している2趾、3趾間を叩くと指先まで響くチネルサインが出ます。
背伸びをして指の付け根に痛みが出るかどうかを確認します。その他、足の指を反らせたときに痛みがあればモートン病の可能性が高くなります。
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治療法
モートン病の治療法は次のような方法があります。
保存療法(手術以外の治療)
- ハイヒールを履かない
- 背伸び(つま先立ち)をしない
- 足底挿板、インソールを使用
- ブロック注射
- 運動療法(タオルギャザー)
- 足趾の伸筋群を弛緩させる
- テーピング
1.ハイヒールを履かない
ヒールの高い靴は足の指の付け根に体重がかかってしまい、モートン病の原因となりますので使用を中止します。
2.背伸び(つま先立ち)をしない
背伸びはハイヒールと同じく指の付け根で体重を支える事になるので、背伸びが必要な作業や運動は出来るだけ中止します。
3.足底挿板、インソールを使用
崩れたアーチを戻すため、足底板やインソールを使用します。
インソールは上のようなモートン病専用のものもあります。
4.ブロック注射
痛みのある2・3趾間、または3・4趾間の神経にステロイドや麻酔剤を注射して炎症、痛みを抑えます。
5.運動療法(タオルギャザー)
非常に手軽で効果的な治療法です。タオルを床に広げます。そのタオルの上に裸足で足を置き、足の指だけでたぐり寄せます。
タオルを使わない時でも足の指でグーを作る動作を繰り返し行うと同じ効果が得られます。
6.足趾の伸筋群を弛緩させる
足の趾(指)を反らせる作用に関連する前脛骨筋、長趾伸筋、短趾伸筋をストレッチやマッサージで緩め、足趾の反りの改善を図ります。
7.テーピング
反ったり浮いたりした足の指を戻すためのテーピングを行います。皮膚がかぶれないように3日貼ったら1日空けるなど工夫が必要です。
観血療法(手術での治療)
保存療法を行っても痛みや痺れが取れない場合は手術を選択されることがあります。
手術では神経を圧迫する深横中足靱帯の切除や神経剥離術、神経腫の摘出を行います。