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半月板損傷 / ひざの痛み・膝が引っかかる

半月板損傷

はんげつばんそんしょう

半月板損傷とは、膝 (ひざ) の関節内にある半月板が傷ついたり割れたりして、膝関節の痛みや引っかかりが出る症状です。


半月板ってどこにある?

半月板はひざ関節内に左右の膝 (ひざ) それぞれ2つずつあります。膝の内側にある半月板を内側半月、外側にある半月板を外側半月といいます。

内側半月はアルファベットの「O」の形をしていて、外側半月は「C」の形をしています。内側半月は外側半月と比べて大きく作られています。

半月板の役割は?

では半月板は何のためにあるのでしょうか?

膝は曲げたり伸ばしたりする動きをする蝶番(ちょうつがい / ちょうばん)関節です。厳密には多少の捻りも行えます。

半月板は膝の関節を作る膝の上の大腿骨と膝の下の脛骨けいこつ)で構成されていて、この骨と骨の隙間を埋めるスペーサーの役割を担っています。半月板があることで不安定な膝関節の安定性を高め体重の支持を行います。

さらに半月板はその材質から地面からの衝撃を和らげるクッションの役割もあります。

さらに膝を曲げ伸ばしすると内外2つの半月板は数ミリずつ動きます。このため膝の円滑な動きを半月板が可能にしています。



半月板を痛める原因

膝の半月板を痛める原因で有名なものがうさぎ跳びです。

うさぎ跳びとは、両手を腰で組んでしゃがんだ状態で階段などを跳ねるように膝の屈伸で登るトレーニング法です。

あまりに膝の障害が多いため現在ではほとんど見られなくなりました。

このように半月板は膝を直角以上に曲げた状態で関節内に強い圧力が掛かり損傷します。

この他にも半月板は捻じる動作が非常に弱く、サッカーやバスケットなどのコンタクトスポーツや体操競技などでも多発します。

特に膝を曲げた状態で膝関節を捻ると半月板に亀裂が入ったり、割れたりするリスクが高くなります。

CHECK

膝の損傷の中でも重要な機能を担う「内側側副靱帯」「前十字靭帯」「内側半月板」の3つを同時に損傷したものは不幸の三徴候 (アンハッピートライアド) と呼ばれます。

半月板損傷の症状は?

半月板を痛めると次のような症状が現れます。

  • 歩行時の膝の痛み
  • 膝に水が溜まる
  • 膝関節が伸びなくなる
  • 膝関節を捻ると痛む

半月板を損傷すると歩行時に痛みが出やすくなります。

また、ロッキングと言って膝の関節が引っかかり真っ直ぐに伸びなくなるものもあります。

ロッキングを起こすと歩行時の痛みは相当強く現れます。

関節内の軟骨や半月板の損傷があると膝に水が溜まる事があります。本来関節には関節液という関節を栄養する水で満たされています。

関節内に傷が付く事でこの「水」が多く作られ腫れや痛みの原因ともなります。ただし関節液は傷を治そうとして出るため悪いものではありません。

ひざに溜まる水について詳しくはこちら ⇩

ひざの水 ひざに溜まる水は良い水!?水を抜くとクセになると言う間違い。

また、半月板損傷の特徴として膝関節が捻られると痛みが出ます。特に体重をかけた状態で膝を捻るとこの症状は顕著に現れます。

半月板損傷の検査法

半月板は軟骨組織のためレントゲンでは損傷を確認できません。そのためレントゲン以外の各種方法で検査します。

徒手検査 圧アプレーテスト

半月板損傷で簡単に確認でき、信用性が高い検査がこの圧アプレーテストです。

圧アプレーテストはまず、うつ伏せに寝た状態で痛めた膝を90°(直角)に曲げます。

次に曲げた足の裏の踵の部分を下に強く押し付けながら捻じりを加えます。

踵を外側に捻じって痛みが出れば外側半月板損傷、踵を内側に捻じることで痛みが出れば内側半月板損傷です。捻じりは必ず下に押し付けながら行います。

この検査は半月板損傷では高い確率で陽性となります。

ただし稀に変形性膝関節症の悪化したものでも痛みを訴えることがありますが、その場合は捻じる前の足の裏から下に圧力を加えた時点で痛みを訴えるため鑑別診断は可能です。

変形性膝関節症について詳しくはこちら ⇩

変形性膝関節症 変形性膝関節症 / 膝(ひざ)の痛み

圧アプレーテストで陽性の場合、自然治癒や保存療法では治療が困難なことが多く、早めにMRI関節鏡検査で確定診断を受けることが必要です。

MRI

磁気を利用した検査法で、レントゲンとは異なり骨以外の軟部組織である筋肉や靭帯、軟骨を確認することができます。

MRI検査では半月板損傷を確認できますが、画像診断の限界があり分かりにくいものもあるため、最終的には次の関節鏡検査を行います。

関節鏡検査(AS)

膝の関節に小さな穴を開けてカメラで関節内を目視できるため、半月板の損傷の程度を確認するのに確実な検査法です。

関節鏡検査は手術になりますが、半身麻酔で行うことが可能で自分自身で映像を確認しながら検査してもらえます。

半月板損傷の治療法

半月板損傷では半月板に小さな傷がついたものは保存療法で治療することが可能です。

ただし、半月板自体は再生しない(注)ため痛みをケアしながらの生活となります。
注:半月板の外側に多少の血流がありますが、内側には血管が無く関節液でしか栄養されないため再生されることはほとんどありません。

保存療法

半月板が割れたものでは保存療法は困難ですが、傷や亀裂が入ったものでは保存療法での治療が可能なため、次のような対応策が行われます。

物理療法

膝の痛みに対して電気治療や温熱治療、テーピング固定などを行い日常生活での痛みを軽減する治療が行われます。

また膝のサポーターなどを利用して膝関節の動揺性を減らし歩行時の負担を軽減させるようにします。

特に膝に水が溜まる場合にもサポーターで圧迫する事で水の吸収を促します。

運動療法

損傷した半月板の負担を軽減させるため、膝周囲の筋力強化が行われます。

特に大腿四頭筋という太もも前面の筋肉トレーニングで鍛えて膝の動揺性を減らす事が重要です。

また、手術により半月板を切除した場合でも筋肉トレーニングは必要となります。

ロッキングを治す方法

半月板が関節内で引っかかり膝が伸びなくなった場合には徒手整復で治す事が可能です。

徒手整復では仰向けに寝た状態で患肢 (痛い方) の膝を強めに持続牽引します。

少し膝を曲げて脛骨を何度か上下に動かし、膝の曲げ伸ばしを10回ほど行った後に膝から下を牽引するという動作を数回繰り返します。

ロッキングが外れるとパキンという音と共に手応えが伝わります。直後よりほとんど痛みは消失し、膝関節も正常に伸びるようになります。

注意

半月板が断裂 (割れて) してロッキングしたものでは徒手整復は非常に困難となるため関節鏡での治療となります。

保存療法の予後

ロッキング症状以外の半月板が断裂したような重度の損傷であっても手術しない選択もあります。

また、手術しないで生活している方も大勢います。その場合では膝関節を捻る動作での痛みは無くならず、日によっては痛みが強く出たり膝に水が溜まるなどの症状を繰り返す事があります。

手術療法

半月板損傷では他の膝疾患と比べて多くの場合手術での治療となります。手術では近年において関節鏡で行われ、体への侵襲も少なく早期の回復が望めます。

半月板を取り除く方法

半月板が割れていた場合や割れた半月板が膝関節内で引っかかったものでは半月板を取り除く手術が関節鏡下で行われます。

また、半月板の一部が欠けたものではその部分だけを切除する事で半月板の機能を保つ事ができます。

ただし切除した箇所は弱くなるためその後の生活に注意が必要となります。

半月板を縫合する方法

半月板の機能を最大限に保つため、近年では縫合する手術が行われています。半月板の損傷部を糸で縫う事で安定した機能を維持できます。

縫合の問題点として、内外2つの半月板の内側は血流が無く再生不可能なため、外側部分の損傷に対しての適応となります。

また、縫合部が再断裂する事が多く再手術の必要性が今後の課題となっています。

半月板を取り除いて大丈夫か?

半月板を手術で取り除く事があります。よく半月板が無くなっても大丈夫かどうか心配になると聞きます。

半月板はそれ自体を取り除いても直ぐに問題はありません。

ただし、膝関節の安定支持やクッションの役割が損なわれるため、膝の関節軟骨に通常よりも負荷が掛かり、将来的に軟骨がすり減る変形性膝関節症のリスクが高まると言われています。

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