頚髄損傷
けいずいそんしょう
「頚髄損傷 (けいずいそんしょう) 」とは、首の骨を通る神経が損傷を受けて手足が麻痺することです。
「頚」の字を「頸」として「頸髄損傷」でも大丈夫です。
間違えやすい呼び名に「頚椎損傷 (けいついそんしょう) 」がありますが、これは首の骨自体を痛めたものです。
頚髄損傷はよく「頚損」(けいそん) と略して呼ばれます。他に首と限定せずに背骨の脊髄を痛めたという意味で広く「脊髄損傷」(せきずいそんしょう)「脊損」(せきそん) とも言います。
頚髄髄傷の原因
背骨には脳から手や足などほとんど全身に行く神経の束が通っています。ここを脊髄 (せきずい) と呼びます。
頚髄損傷は交通事故やスポーツ、高所からの落下などで首の骨が骨折もしくは脱臼する事で多くは発症します。
また、後縦靱帯骨化症、黄色靱帯骨化症、頚椎症性神経根症など神経の通り道が狭くなっている疾患をを患っている方が転倒し、首への強い衝撃によっても発症する事があります。
よくある日常で椅子や車椅子で後ろ向きに倒れたり、雪の日に足を滑らせ後ろ向きに転倒した場合も発症する事が多くなります。
頚髄損傷の症状
頚髄損傷では「完全麻痺」と「不完全麻痺」に分類します。
完全麻痺は手足が動かず感覚も無くなりますが、不完全麻痺では一部の運動機能や感覚は保たれます。
首での脊髄損傷 (頚髄損傷) の場合、両手両足での運動障害、知覚障害が起こり、重度の場合は完全麻痺となります。
腰での脊髄損傷の場合は両足の運動障害、知覚障害、完全麻痺となります。
つまり、損傷を受けた背骨の部分から下が麻痺してしまいます。
頚髄損傷の治療法
頚髄損傷の場合、多くは受傷後に手足が麻痺して動かない状態です。その後、数か月すると麻痺が消失し回復することもあります。
受傷直後は頭から肩まである首を固定する装具が使われます。頚髄損傷では本人は体を動かすことができませんが、着替えや検査で移動するときに首が動いてしまうと命の危険がでてきます。
そのため首の固定装具を付け外しする際は一人が頭を固定し、もう一人が装具を付け外しするなど数人で行うようにします。
不完全麻痺の場合、歩行訓練や筋力トレーニング、巧緻動作訓練などを行い残存機能の維持に重点を置くリハビリを行います。
足が麻痺して歩行困難な場合にはお尻から足までを支える歩行装具なども使用します。
数か月して症状の回復が見られない場合は予後は非常に厳しくなります。神経を圧迫している箇所が特定され、手術が可能な場合は脊柱管を広げる手術が行われます。
しかし一度ダメージを受けた中枢神経(脊髄神経)は手足の末梢神経とは違い回復は困難となります。
現在、「ips細胞」など脊髄神経を回復させる様々な治療法が研究されていますが未だに確実な治療法は確立されていないのが現状です。