扁平足 (へんぺいそく) とは?運動やインソールでの治療法
扁平足とは足のアーチの形成不全により、足の裏が扁平になっている状態です。
扁平足の状態は単に見た目だけでなく体に様々な影響が出てきます。
どのような状態が扁平足か?
前記のように扁平足とは足の土踏まずが無く、足裏がノッペリと平らな足を指します。
土踏まずを形成するのは縦アーチと呼ばれる足の甲を作っている骨 (舟状骨や中足骨) です。
この (内側) 縦アーチが低いものを扁平足、高いものをハイアーチといい、どちらも足の痛みを発症しやすく、膝 (ひざ) や腰など体の負担も大きくなります。
また、通常時はアーチが正常でも体重がかかるとアーチが下がり扁平足となる弛緩性扁平足 (しかんせいへんぺいそく) が見られる事もあります。
乳幼児期にはほとんどアーチは無く扁平足の状態です。歩行を開始すると次第に足のアーチ (土踏まず) が形成されていきます。
扁平足により出る体の症状
足のアーチは地面からの衝撃を和らげ、体重を緩衝する役割があります。その事から、アーチが低い扁平足では次のような体への不都合があります。
- 腰や膝、足首の関節を痛めやすい
- 足が疲れやすい
- 背骨の負担が大きい
- 外反母趾になりやすい
1. 腰や膝、足首の関節を痛めやすい
足のアーチは歩行時や走行時に地面からの衝撃を和らげてくれる役割があります。
⬆︎ 足が過回内位に変化したもの
扁平足の状態ではこのクッションがないため地面からの刺激が関節へダイレクトに伝わってしまい、軟骨の消耗が激しくなります。
2.足が疲れやすい
扁平足ではクッション性が無いため脚への負担が大きく疲れやすくなります。
特にスネの筋肉やふくらはぎを疲労しやすく、ジャンプ競技では太ももの筋肉が強いストレスを受けます。
3.背骨の負担が大きい
足のクッション性が無い事で、地面からの衝撃は背骨にも伝わります。
正常な背骨では前後S字状に彎曲 (わんきょく) している上、椎間板という背骨と背骨の間のクッションがあり、走るなどの衝撃を吸収しています。
この背骨の彎曲や椎間板の柔軟性が無い、又は減少している場合、扁平足による地面からの衝撃が重なると背骨に強い負担がかかります。
その結果、変形性脊椎症、椎間板ヘルニアなどへと移行するリスクが高まります。
4. 外反母趾になりやすい
足のアーチは縦アーチと横アーチの2つがあります。さらに縦アーチは親指側の内側縦アーチと小指側の外側縦アーチがあり、土踏まずに関係するのは内側縦アーチです。
この内側縦アーチや横アーチか下がってしまうと、外反母趾になりやすくなります。
外反母趾について詳しくはこちら ⬇︎
外反母趾 (がいはんぼし) とは?原因と治療法
年齢で見る扁平足
足のアーチは年齢に応じて形を変えます。例えば、先ほども少し触れましたが乳幼児期には土踏まずは形成されていないため最初は皆んな扁平足です。歩行を始めた後からアーチが作られます。
そのため、10歳くらいまでは偏平足であっても自然体アーチが形成される事があるため、特に治療の必要性はまだありません。
高齢者は足の靭帯が弛緩して土踏まずを作っている舟状骨という骨が下がってきます。足首の関節も左右に曲がる事が多く、徐々にアーチは崩れていきます。
扁平足の改善方法は?
扁平足でも生まれつきのものは改善がなかなか困難ですが、特に靴や歩き方、姿勢から扁平足をきたしているものは改善させることができます。
扁平足を改善させる方法には次のようなものがあります。
- 足の筋力トレーニング
- インソールやサポーター
1. 足の筋力トレーニング
扁平足を根本から改善するには足の筋力をつける運動が必要です。
筋力をつける方法はタオルギャザーが効果的です。タオルギャザーは床に広げたタオルの上に脚を置いて指で手繰り寄せる運動です。
その他、青竹踏みのような半円状の筒の上で足踏みをする事でアーチがストレッチされ、且つ足底筋膜に柔軟性が出ます。
2. インソールやサポーター
インソールはアーチを支え、扁平足を改善させる方法で、靴の中に入れて足を支えるものや、アーチサポーターなど多くの種類があります。
ただし、インソールやサポーターはどうしても使用している間の一時的な対処になってしまい、根本の改善にはなりにくい面があります。
⬆︎ 画像は甲高のハイアーチ
そのため、インソールやアーチサポーターは痛みの緩和に利用し、根本的な治療は運動で行うように使い分けると効果的です。
特にアーチサポーターはアーチ部の関節に痛みがある場合に有効で、インソールは歩行時の膝や股関節、腰などの衝撃を和らげるアーチの代役となります。
まとめ
現代は昔と比べて交通機関の発達により歩行距離が減少し、更に合わない靴などで足のアーチが崩れたり形成不全となってしまっているものが増えています。
扁平足は増加傾向ですが、アーチが無いことは単に見た目の問題ではなく、年齢を重ねるごとに身体のあちこちに負担がかかってきます。
扁平足を少しでも緩和し、加齢からアーチが下がるスピードなども落とすよう、少しずつ足の運動をする習慣を付けて行きましょう。