パーキンソン病
ぱーきんそんびょう / 難病指定
パーキンソン病とは、手の震えに加え、歩行が小刻みになり止まりにくくなる疾患です。
パーキンソン症候群とは異なります。
パーキンソン病の原因
50歳以上の方に多く、脳の黒質から出る神経伝達物質であるドパミン (ドーパミン)が減少します。ドパミンが減少する理由はまだ解明されていません。
高齢者では100人に1人の割合で大変多い疾患です。
パーキンソン病の症状
パーキンソン病の症状は以下の4つが挙げられます。
- 振戦 (しんせん)
- 動作緩慢 (突進歩行)
- 筋固縮 (きんこしゅく)
- 姿勢反射障害
1.振戦 (しんせん)
振戦とは「ふるえ」の事です。パーキンソン病では安静にしていても手が小刻みに震えます。 (安静時振戦)
小脳出血、小脳腫、脊髄小脳変性症などで見られる振戦では、字を書こうとしたり物を取ろうとすると手が震えます。これは企図振戦 (きとしんせん)といいます。
2.動作緩慢 (突進歩行)
動作が遅くなったり少なくなったりします。歩行時には足が小刻みになり止まらなくなります。最初の一歩目がなかなか出ない事もあります。
3.筋固縮 (きんこしゅく)
または筋強剛と呼ばれます。自然に筋肉に力が入ってしまい、他の人が関節を動かそうとすると抵抗を感じます。
4.姿勢反射障害
体のバランスが悪くなり姿勢が傾くとそのまま倒れてしまいます。
その他、ドパミンの減少により自律神経や精神疾患を引き起こしやすくなります。
重症度の分類
パーキンソン病には重症度に応じて今現在の症状はどの程度かの指標となる「ヤール分類」というものがあります。
- Ⅰ度 症状は片方の手足のみ。
- Ⅱ度 症状は両側の手足に。
- Ⅲ度 姿勢反射障害や歩行障害が現れますが日常生活は自立している。
- Ⅳ度 日常生活で介助が必要な事が増える。
- Ⅴ度 1人で生活する事が困難となり車椅子や寝たきりとなる。
パーキンソン病の症状は進行性で徐々に悪化しますが、早期から治療を行えば進行を遅らせる事が可能です。
最新の検査法
これまでパーキンソン病はMRIやCTの検査でも異常は見られないため確定診断に時間を要していました。
近年ではパーキンソン病の診断にスペクト(SPECT)検査という方法が使われるようになっています。
このSPECT検査は、パーキンソン病の原因となるドパミン神経の減少が目で確認可能となるため、確定診断や治療開始が早期から可能となりました。
パーキンソン病の治療法
薬物療法が行われます。パーキンソン病は脳内の伝達物質である「ドパミン」が減少して手のふるえなどの症状が出るので、ドーパミンを補うため薬剤のL -ドパ (レボドパ) が使われます。
薬剤で症状の変化が見られない場合、手術療法が行われる事があります。手術では脳内の運動を抑制している視床下核へ電流を流して症状の緩和を図ります。
「パーキンソン病」や「パーキンソン症候群」と間違えられやすいものに「本態性振戦 (ほんたいせいしんせん) 」があります。
本態性振戦について詳しくはこちら ⬇︎